犬のマダニとSFTS|人にうつる?散歩後チェックと受診目安
2025年9月、東京都内で初めて犬のSFTS感染が確認されました。人にうつるのか、散歩後に体のどこを見ればいいのか、マダニを見つけたときに自分で取っていいのかを、公的資料だけで整理します。

草むらに突っ込んで帰ってきたうちの子を見て、「マダニ、ついてないよね」と毛をかき分けたこと、ありますよね。
2025年10月、東京都が報道発表を1本出しました。都内で飼われていた犬から、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のウイルスが検出された、という内容です。しかもその子は室内飼い。ニュースを見て不安になった人のために、公的資料だけで整理します。
この記事の結論
マダニは「自分で取らない」「見つけたら動物病院」「刺された人は数週間の体調変化を見る」の3つを覚えておけば足ります。
- 散歩から帰ったら → 耳のうしろ・顔まわり・内またを手で触って確認
- マダニがくっついていたら → 引っぱらずに動物病院へ連絡
- 自分がマダニに刺されたら → こすり取らずに皮膚科へ。その後数週間は発熱に注意
都内で初めて、犬のSFTSが確認された 🏥
東京都が公表したのは、15歳の犬の事例です。基礎疾患があり、室内で飼われていました。ただし8月下旬に都外へ滞在した記録が残っています。
経過はこうでした。
ここで個人的に引っかかったのは、症状が出た9月2日から、飼い主さんがマダニに気づいた9月18日まで、2週間以上あいていることです。マダニは血を吸って膨らむまで、見た目がただの「小さなできもの」にしか見えません。都の資料を読むかぎり、見逃しやすさがそのまま日数に出ている気がします。
国内全体の数字も置いておきます。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 人の届出数(2013年3月〜2025年7月31日) | 1,185例 |
| うち届出時点での死亡例 | 126例(10.6%) |
| 届出が多い月 | 5〜10月 |
| 患者の年齢中央値 | 75歳 |
| 2025年に推定感染地域として新たに加わった地域 | 神奈川県、岐阜県、北海道、茨城県 |
| 2024年の動物の症例報告(診断ネットワーク調べ) | ネコ194頭、イヌ12頭 |
← 横にスクロールできます →
出典はJIHS(国立健康危機管理研究機構)の発生状況資料です。注目してほしいのは最後の2行。これまで西日本中心だった報告が、2025年に関東と北海道まで広がりました。「うちは東京だから」が通じにくくなってきた、ということです。
なお致死率の数字は資料によってばらつきます。厚生労働省のQ&Aは国内27%・中国10%と併記し、JIHSの詳細版は6.3〜30%と幅を持たせています。ひとつの数字だけを覚えるより、「幅がある」と理解しておくほうが実態に近いと思います。
犬から人にうつるの?
ここが一番知りたいところですよね。公的資料の書き方は、意外とはっきりしています。
厚労省のQ&Aと神奈川県のページは、どちらも同じ趣旨を書いています。健康な犬や猫から人が感染した事例は報告されていない、と。一方で、発症した動物の血液や体液に直接触れたり、咬まれたりしたことで人が感染した例は実際にあります。
犬からの感染例も記録に残っています。2018年の日本感染症学会で報告されたケースでは、飼い犬が元気消失と食欲低下を示し、その発症から10日後に飼い主が発熱・関節痛・頭痛、続いて消化器症状を起こしました。後の検査で、犬と飼い主の両方からウイルスが確認されています。
JIHSの資料によれば、動物への医療行為中に感染したと推定される獣医療従事者が、これまでに12例届け出られています。つまりリスクが集中するのは「体調を崩した動物を看病する場面」。ふだんの散歩やお散歩仲間との立ち話で心配する話ではない、と読めます。
ただし、うちの子が体調を崩したときの対応は別です。神奈川県のページは、ペットの調子が悪いときはマスクと手袋で対応し、口移しで食べ物を与えるような濃厚な接触は控えるよう案内しています。触ったあとの手洗いも同じです。
散歩のあと、どこを見ればいいのか 🐾
マダニは毛の薄いところを好みます。手のひらでなでて、小さなでっぱりやしこりを探すのが現実的なやり方です。目視だけだと、まず見つかりません。
愛媛県のページは「帰宅した際に、飼い主もペットもマダニが付着してないかチェック」と書いています。人も対象、というところが地味に大事です。JIHSのマダニ対策資料も、屋外活動のあとはシャワーや入浴のときに体を確認するよう勧めています。マダニは「できもの」のように見える、という表現つきで。
やり方は、むずかしくありません。
- 帰ったら玄関で、耳・顔まわり・首を手で触る
- 体を前から後ろへなでて、ひっかかるものがないか探す
- 内またと指のあいだは、お腹を見せてくれるときにまとめて
- 服や上着は家の中に持ち込まない。粘着テープで払うのも有効
コームを1本、玄関に置いておくと習慣になりやすいと思います。ブラッシングのついでにチェックまで終わるので。
楽天市場「"犬」の売れ筋(2026-10-19時点・PR)。価格は変わります。
価格や在庫は商品ページで確認できます。犬 ノミ取りコームを楽天で探す
そして、これは本題の前提になる話。東京都獣医師会は「マダニに刺されないようにすることが大切です」として、健康なうちにかかりつけの獣医師と駆除・予防薬を相談しておくよう案内しています。都のプレスリリースも同じ内容です。予防薬は動物病院で相談するもの、と覚えておいてください。
マダニを見つけた。自分で取っていい? 📋
引っぱらないでください。これがすべての資料に共通して書かれている点です。
JIHSのマダニ対策資料はこう説明しています。マダニは10日以上かけて血を吸うことがあり、吸血中に無理に取ろうとすると口の部分が皮膚に残って化膿することがある、と。だから皮膚科などの医療機関で処置を受けてください、という流れです。犬や猫なら動物病院が窓口になります。
状況別に整理しました。
| 状況 | 公的資料に書かれている対応 |
|---|---|
| 犬の体にマダニがくっついている | 無理に取り除かず、動物病院で除去してもらう(神奈川県・東京都) |
| 自分(人)の体にくっついている | 自分で取らず、医療機関で処置を受ける(東京都・文京区) |
| 犬に発熱・嘔吐・下痢・元気がないなどが出た | 動物病院へ。マダニに接触した状況も獣医師に伝える(神奈川県) |
| 服やカーペットにマダニが落ちていた | 粘着テープで取り除く方法が紹介されている(JIHS) |
| 取ったあと、皮膚に黒いものが残っている | 自己判断せず動物病院・医療機関に相談を |
← 横にスクロールできます →
知恵袋には、こんな質問が実際に投稿されています。犬の耳のマダニを病院で取ってもらう予定だったのに自然に落ちてしまった人が、「犬の耳にダニの口が残っている場合もあるのでしょうか?」「自然に取れた場合は家の中で動き回ったり人間を刺すことはありえますか?」と書いていました。別の質問では「犬がマダニを家に数十匹連れ込みました、すぐ隔離しましたがこの先どうしたら良いでしょうか」という悲鳴も。
どちらも、読んでいてリアルだなと感じました。マダニの話は「刺されたかどうか」で終わらず、「家に持ち込んだかも」まで続くんですよね。不安が残るときは、動物病院に電話で状況を伝えるのが一番早いと思います。
刺された後、人はいつ病院に行けばいい?
マダニに刺された直後に体調が悪くなるわけではありません。時間をおいて症状が出ます。
潜伏期間はおよそ6日から2週間。主な初期症状は発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛です。厚労省Q&Aも東京都感染症情報センターも、同じ範囲を示しています。
東京都のプレスリリースは、刺された後は数週間、体調の変化に注意するよう呼びかけています。熱が出たとき、受診先で「いつ・どこで・マダニに刺された」と伝えられるかどうかで、話の進み方が変わります。日付をメモしておくと確実です。
自己判断で様子を見続けるのは避けて、気になる症状が出た時点で医療機関に相談してください。うちの子の体調が気になるときは、同じように動物病院へ。
ちなみに草むらに入るときの人側の装備も、資料に細かく書いてあります。長袖・長ズボン、シャツの裾はズボンの中、サンダルは避ける、明るい色の服だとマダニを見つけやすい。都はディートやイカリジンを含む虫よけ剤の使用にも触れています。真夏の散歩で全部やるのは正直きついので、ヤブに入る日だけでも、と考えるのが現実的だと思います。
よくある質問
Q. 室内飼いなら関係ないですよね?
今回都が公表した犬は、室内で飼われていました。人や衣服、他のペットが外から持ち込むルートがあります。JIHSの資料には、マダニは民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道にも生息すると書かれています。屋外に出る機会があるなら、散歩後のチェックは続けておくのが無難です。
Q. 冬は気にしなくていい?
届出が多いのは5〜10月ですが、JIHSの資料には冬季にも症例が報告されていると明記されています。キチマダニのように、冬に活動が活発になる種類が関わっている可能性が指摘されています。春から秋がピーク、冬はゼロではない、という理解でいいと思います。
Q. 犬と猫で、危険度は違うの?
報告数には差があります。2024年の動物の症例報告はネコ194頭に対してイヌ12頭。致死率も、神奈川県のページでは犬が約25%、猫が約60%程度と記載され、JIHSはネコの致死率を62.5%とする研究を引用しています。犬の報告は猫より少ないものの、ゼロではありません。心配な点はかかりつけの獣医師に相談してください。
出典
- 犬の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)発生に伴う注意喚起(東京都) 2026-10-07 閲覧
- 犬の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)発生に伴う注意喚起(保健医療局)(東京都保健医療局) 2026-10-07 閲覧
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A(厚生労働省) 2026-10-07 閲覧
- 国内外における重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生状況について(2025年9月18日改訂)(国立健康危機管理研究機構(JIHS)) 2026-10-07 閲覧
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(詳細版)(国立健康危機管理研究機構(JIHS)) 2026-10-07 閲覧
- マダニ対策、今できること(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 昆虫医科学部) 2026-10-07 閲覧
- ペットからSFTSウイルスに感染し, SFTSを発症した事例報告(国立健康危機管理研究機構(IASR)) 2026-10-07 閲覧
- ペットの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について(神奈川県) 2026-10-07 閲覧
- 犬や猫から人へ感染するSFTSについて(愛媛県) 2026-10-07 閲覧
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(東京都感染症情報センター) 2026-10-07 閲覧
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(文京区) 2026-10-07 閲覧
- SFTSから犬猫を守ろう!(公益社団法人 東京都獣医師会) 2026-10-07 閲覧
- 知恵袋の質問「犬の耳にマダニが付いていたのに気づき…」(自然に取れた後の不安)(Yahoo!知恵袋) 2026-10-07 閲覧
- 知恵袋の質問「犬がマダニを家に数十匹連れ込みました」(Yahoo!知恵袋) 2026-10-07 閲覧
